ルーフラックは装着したままでも車検に通るの?通らないの?

ルーフラックは合法?非合法?

このお話のポイント

ルーフラック装着に関与する規則・ルール

(クリックすると原文を確認していただけます)

道路運送車両の保安基準 第18条「車枠および車体」別添20

「自動車部品を装着した場合の構造等変更検査等における取扱いについて(依命通達)」

シーエルリンクでは自社オリジナルルーフラック製造にあたり、広島県を管轄する中国運輸局広島運輸支局および軽自動車検査協会広島主管事務所に解釈の確認をとっています。

ルーフラックの装着は車検上問題はありません

カスタムの定番アイテムである人気商品のルーフラック(ルーフキャリア)について車検に適合するかどうかといった問い合わせをいただきます。

ネット上でもいろいろな情報を目にしますが法規的には果たしてどのような解釈になるのか、条文をかみ砕いて解説いたします。

結論からいいますとルーフラックは市販されているほとんどのものが合法的にご使用いただけます。(製品だけでなく、取り付け方法等も注意が必要です。)

理由はルーフラックが指定する自動車部品(以下:指定部品)であり、簡易な取り付け方法または固定的取付方法による装着であるからです。

指定部品や取り付け方法などルーフラックにかかわる詳細を以下に記載しますので気になる方は最後までご確認ください。

ルーフラックにかかわるルール

ルーフラックは車両の外側面に装着されるため接触時の安全性が問われます。

またラックの装着により車両の高さや重さが変化します。

これらは国土交通省が定める道路運送車両の保安基準(以下:保安基準)にて厳格に規定されており、その基準に準じているかどうかで判断されます。

ルーフラックに関して車検にかかわる法規は主に以下の2つがあります。

道路運送車両の保安基準 第18条「車枠および車体」別添20 (安全性に関して)

自動車部品を装着した場合の構造等変更検査等における取扱いについて(依命通達)(平成7年11月16日付け運輸省自動車交通局長通達自技第234号・自整第262号)(寸法に関して)

それぞれどのような内容か具体的にご説明します。

①車枠及び車体について(保安基準第18条)

ここで規定されている項目の一つに外部突起物規制があります。

歩行者等に接触した際の被害を軽減する等の理由から細かく規定されています。

以下の図に示したエリアにおいて直径10cmの球体が直接当たる部分が対象となり、その角部は半径2.5㎜以上の曲面を有していること、または硬さが60A(ショア)以下のものと規定されています。

外部突起物エリアの詳細図

この規則は国連協定規則に基づき我が国も2017年より全車に適応される予定でしたが、2016年にその対象車両が新車登録前の車両となり継続車検に適応されないことが決まりました。

つまり登録後に装着されるルーフラックなどのカスタムパーツには外部突起物規制は適応外となります。

②自動車部品装着時の構造等変更検査等における取扱いについて

平成711月以降、使用過程における自動車(登録済みの車両)について、軽微な変更となる自動車部品の取り付けについては、構造等変更に係わる諸手続きを簡素化するという通達がありました。

『諸手続きを簡素化』とは構造等変更検査の必要がなく、車検証の記載を変更しなくてもよいという解釈になります。

軽微な変更とは以下の2つのパターンが設定されており、どちらかに該当すれば『諸手続きを簡素化する(車検証の記載変更不要)』対象となります。

ⓐ自動車部品を装着したときに寸法及び車両重量が一定範囲内である場合

Ⓑ指定部品を溶接またはリベット以外の取り付け方法により装着した場合

それぞれの詳細は以下にまとめましたのでご参照ください。


ⓐ自動車部品を装着したときに寸法及び車両重量が一定範囲内である場合

寸法および車両重量が一定範囲内である場合とは

自動車の寸法(長さ、幅、高さ)および重量は車両の種類によって決められた『一定の範囲内』において自由な変更が認められています。

自動車後付け部品における一定範囲とは

上記に示した『一定範囲内』であれば、指定部品/指定外部品および取り付け方法に関係なく構造等変更検査を受ける必要はなく車検を通すことが出来ます。

Ⓑ指定部品を溶接またはリベット以外の取り付け方法により装着した場合

指定部品と指定外部品
指定部品とは

『自動車使用者の嗜好により、追加、変更等をする蓋然性が高く、安全の確保、公害の防止上支障がないものとされている自動車部』のことを指し、この部品を簡易的または固定的取付方法で装着した場合は、一定範囲を超えても自動車検査証の記載変更手続を行わなくてもよいとされています。
しかし、「指定部品」であっても、これらの自動車部品を装着した車両は、「道路運送車両の保安基準」に適合するものでなければなりません。

ルーフラックは指定部品の中で「手荷物等を運搬するための部品」に分類され、同グループの中にはバイク/スキーラック、エンクローズド・ラゲージ・キャリア、その他ラック類があります。

ルーフラック以外の主な指定部品の例

・リアラダー ・ウインチ ・ショックアブソーバー ・コイルスプリング ・バンパー 等

指定外部品とは

指定部品として認められているもの以外は全て指定外部品に該当します。これらの部品は一定範囲内での装着は認められますが、一定の範囲を超える場合は簡易的取付方法での装着を除き構造等変更検査を受ける必要があります。

上記内容を以下の表にまとめました

自動車後付け部品の取り付け方

次に取り付け方法の詳細を説明します。

簡易な取付方法:手で容易に脱着できる取り付け方法

・例:蝶ネジ、クリップなど

固定的取付方法:簡易な取り付け方法又は恒久的取付方法以外の取り付け方法

・例:ボルト、ナット、接着剤など

恒久的取付方法:溶接やリベットで装着する方法

※説明書の装着方法がボルトや接着剤で装着する商品(固定的取付方法)を簡易な取付方法とするため使用者がクリップで装着した場合等は不適切な装着と判断され車検をクリアできない場合が多いです。

まとめ

いかがだったでしょうか?

ルーフラックの装着が合法かどうかご理解いただけましたでしょうか?

世間的にみると一定範囲内である高さ4㎝以内の変更に関しては浸透しているように感じますが、指定部品は一定範囲を超えても構造等変更検査が必要ないという話は浸透しておらず、間違った認識が多いようにも思います。

シーエルリンクのブログをご覧の皆様には正しい解釈で正しいカスタムを楽しんでいただきたいと思います。そのためにこの記事が皆様のお役に立てばと願うばかりです。

ルーフラック以外も各パーツごとに関わる法規の解釈などをまとめていますので、皆様のカーライフの役に立てていただけると幸いです。

それではまたお会いしましょう。

『ジムニーを楽しもう!』