【ジムニー辞典】ジムニーのリフトアップは突入防止装置が必要なのか?

突入防止装置は条件を満たさない場合のみ必要



2021年9月以降に製造された車両は突入防止装置に関わる要件が新しい要件に切り替わりました。

あまり認知されていませんが、2019年9月から2021年8月の間に制作された自動車にも条件によっては突入防止装置の装着が義務化されており、この度の改定で新設されたルールという訳ではありません。

ジムニーをはじめとしたSUV(特にクロカン四駆に該当する車両)の人気カスタムにリフトアップがありますが、果たしてリフトアップをすると突入防止装置が必要なのでしょうか?

現在我々が知りえる情報をまとめましたので、気になる方は最後までご確認ください!

道路運送車両の保安基準第18条の2(突入防止装置について)

車両後方より追突された際に追突した車の車体前面が潜り込むことにより被害が増加するのを防止するためのルールです。

令和3年9月1日以降に制作された車両においては自動車の後面に突入を有効に防止する装置またはそれと同程度に突入を防止することが出来る構造(突入防止装置の代わりとなる構造)を以下の条件に沿った内容で備えなければなりません。

突入防止装置の代わりとなる構造について(以下図参照)

① 構造部は最外縁が後軸の車輪最外側の内側100mm までの間にあること。
② 構造部は、空車状態においてその下縁の高さが地上550mm 以下であること。
③構造部は、当該自動車の他の部分の後端との水平距離が 450mm 以下であること。
④ 構造部は、振動、衝撃等によりゆるみ等を生じないものであること。

ジムニーにおける突入防止装置の代わりとなる構造については『バンパー部』となっています。(車種によって異なります)


バンパー下縁が600㎜でもいいという話について

当初は上記基準もしくは以下の基準でもいいという解釈をしていました。

①車体後面の構造部における高さが 8t 以下の自動車にあっては 100mm以上あって、
車体後面の構造部は当該自動車の幅の 60%以上であればよい。
② 車体後面の構造部における下縁の高さが、空車状態において車両総重量が 8t 以下の
自動車にあっては 600mm以下であること。
③ 車体後面の構造部における平面部と空車状態において地上 1,500mm 以下にある
当該自動車の他の部分の後端との水平距離が 450mm 以下であること。

この要件のポイントは『車体後面の構造部』という表現であり、車体後面の構造部とはフレームであり、バンパーなど付属品は該当しないとの指摘を受けました。
また、突入を有効に防止する装備は新車型式指定取得時にスズキより『バンパー部』として登録されており、ユーザー側が判断できないとのことで、こちらの要件は該当しないことになります。


上記の条件を満たしていない場合

別に突入防止装置を装着する必要があります

突入防止装置の詳細

(1)突入防止装置は、強度、形状等に関し次の基準に適合するものでなければなりません。
① 車両総重量が 8t 以下の自動車に備える突入防止装置は、突入防止装置の平面部の車両中心面に平行な鉛直面による断面の高さがあっては 100mm以上であること。
② 取付けが確実であって、腐食等がなく、堅ろうで運行に十分耐えるものであること。
③ 外側端部が後方に曲がっていない、又は鋭利な突起を有しない等歩行者に接触した場合において、歩行者に傷害を与えるおそれのないものであること。

④自動車に備える突入防止装置は、UN R58-03-S2 の2.3.(a)に適合すること。


(UN R58-03-S2 の2.3.(a)とは)

国連協定規則58条3項2号に該当し、内容は取り付け要件のみで強度要件は含まれないことから、8t未満の車両に取り付ける突入防止装置は強度要件は含まれないという解釈になります。
上記(1)の要件を満たした装置は以下の取り付け要件に従って装着する必要があります。


(2)自動車に備える突入防止装置は、その性能を損なわないように、取付位置、取付方法等に関し、次の基準に適合するように取付けられなければならない。

① 車両総重量が 8t 以下の自動車車にあっては、地上 550mm 以下であればよい。
②で車両中心面に対して対称の位置に取付けられていること。
③の平面部の最外縁が後軸の車輪の最外側の内側 100mm までの間にあるよう取付けら
れていること
④平面部から車体後端までの水平距離が400mm 以下であること。
⑤ 振動、衝撃等によりゆるみ等を生じないように確実に取付けられていること

強度要件は含まれていませんが、突入防止装置の規定に
『自動車の後面に突入を有効に防止する装置またはそれと同程度に突入を防止することが出来る構造』とあるため、樹脂や繊維類、ゴム類は認められない可能性があります。(車両持ち込みにより検査官判断となります)

終わりに

突入防止装置の装着はリフトアップによって必要、不必要が変わるわけではなく、あくまでもバンパーの下縁の高さが地面から550㎜以内かどうかで決まります。

極端な話、薄いバンパーを装着すればノーマル車高でも突入防止装置が必要になる可能性もあり、逆に純正バンパーなどで225/75R16 のタイヤを装着して3インチリフトアップしても550㎜を超えていなければ装着の義務はありません。

以上が突入防止装置の概要になります。

まずは突入防止装置が必要な状態かどうかを判別し、要件を満たしてない場合に限り別に突入防止装置を取り付けなければならないのですが、その部分が混同されて解釈されるケースもありますので注意が必要です。

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